築地浴恩園再生学会

浴恩園の春風の池と秋風の池 国立国会図書館デジタルコレクションより 未分類
浴恩園の春風の池と秋風の池 国立国会図書館デジタルコレクションより

築地市場跡地に良好な状態で保存されている松平定信の庭園、浴恩園を再生したほうが、東京の魅力が高まり、世界都市としての価値が上がるということで、築地浴恩園再生学会は2024年6月、浴恩園の再生と築地市場跡地再開発の見直しを求め、中央区議会に請願、都庁に陳情を提出。浴恩園は世界的にも珍しい汐入庭園で、同じ汐入庭園の浜離宮、旧芝離宮庭園をつなげていくことで、さらに江戸の文化・歴史遺産を広めることができると考えます。今、三井不動産が計画中の(まだ承認は下りていない)、スタジアムを作るという計画は陳腐で経営がうまくいかない場合は都民の税金もあてられる可能性のあるもので、都庁と都庁職員の天下り先の三井不動産が考えた市民に向き合っていない計画です。

先月8月26日、浴恩園を再生させようと築地浴恩園再生学会セミナーが谷中で開かれました。主なスピーカーは山本理顕氏(建築界のノーベル賞、ブリッカー賞受賞)、宇杉和夫氏(日本コミュニティーアーキテクト機構代表)、小笠原永隆氏(帝京大学教授 考古学)、長屋静子氏(築地浴恩園再生学会代表)です。

写真:浴恩園の春風の池と秋風の池 国立国会図書館デジタルコレクションより

詳しくは下記の各スピーカーのコメントをご覧ください。

◆第3回 浴恩園セミナー+カフェ 報告 *敬称略

「建築家・山本理顕さんを囲んでTalkしよう」 2015年8月26日(火)「谷中の家」にて

【山本理顕】

小池都政下で行われている再開発には大きな問題がある。デベロッパーの利益のために開発が行われている。築地の再開発計画は見直すべき。「市民主体の地域づくり」であるべき。中央区の「町内会」の人たちが中心になって法に訴えるべき。東京建築士会に助言を求めるよう勧める。

【長屋静子】

築地再開発事業者と東京都は、都市計画決定も環境アセスも何も決定されていない現在(2025年8月)、いかにも築地にスタジアムと高層ビル、ホテル建設が決まったかのような偽の報道をマスコミに流させている。戦後80年の反省は東京ではないのか。真実を隠した仕事を何万人もの都職員が暗黙の了解で遂行している。一人の為政者の命令でこういう硬直状態を招いているのは国際的な問題だ。

山本理顕さんのおっしゃるように、開発を優先させることによって、市民本来の自治のまちづくりや築地文化の原点である松平定信翁公の自邸=天下の名園浴恩園が破壊される。市民の自治力と中央区の自治体力を強める計画を、日本国民、世界市民が推進するよう願っている。

都民のものである都有地にある浴恩園遺跡では、すでに池の遺構や石垣、水路、水門など貴重な史跡が発掘され、良好な状態と報告されている。松平定信は、江戸のボタニカルガーデンとして、ロンドンのキューガーデンを模して浴恩園を作庭したといわれている。発掘では、今後の植物研究、土壌からの種子の分析も期待されている。ていねいに発掘して、再生保存する活用計画をつくれば、ポンペイのような遺跡観光も可能となる。江戸期の庭園を再現した本物に触れて子どもから高齢者まで遊べる浴恩園となり、広々とした避難広場にも活用できるのは、海への出口という築地の歴史的な地の利から望ましい。これは地元の住民・市民の希望なのでそれを叶えた活用計画の方が、世界都市東京が世界から尊敬されて輝く姿に近づく。

【小笠原永隆】

浴恩園の地下に約1万4千年前から始まる縄文の遺跡が存在する可能性がある。日比谷入り江自体が浅瀬で縄文人の居住環境だったので貝塚もあった。縄文海進の時期に湾内流で削られて再堆積した地層の中に、海進前の土器が確認されており、その時期の遺跡が存在していたことが、隣接する汐留遺跡でもわかっている。汐留の発掘は1990年代に10年かけて行い、江戸期の玉川上水の水道システムの井戸や大名屋敷、小さな庭園の池なども発掘されている。築地の場合は縄文遺跡が存在する可能性もあるが何を残して活用するかと考えると、江戸後期の浴恩園がターゲットである。

そこで、公的機関による浴恩園跡の保存を前提としたていねいな発掘調査がこれから浴恩園で行われ、築地文化を次世代に継承する適切な活用が望まれる。

【宇杉和夫】

江戸の中心は築地から始まる。芝離宮・浜離宮・浴恩園という3庭園と関係する水域は日比谷入り江、築地川、汐留川、溜池、外堀そして玉川上水へと繋がる。そして、流域では荒川から芝川、大宮氷川神社の高沼と見沼そして、江戸期には入間川、見沼通船堀り、見沼代用水、利根川へとつながる。また、白河の南湖公園と山郭四園のかかわりもある。桑名や広島の安芸へと日本全国に松平定信の空間論はつながっている。

まちの発達は砂洲から始まる。浴恩園・浜離宮・芝離宮の地は江戸(湊)の出発点。関東・大江戸の中心となる場所。関東・大江戸のへそは埼玉の高沼見沼・氷川神社。大江戸の中心江戸湊・築地浴恩園地区を位置づけるデザインには、「コミュニティアーキテクト」による地域の文脈にもとづいたデザインが必要不可欠。フランク・ロイド・ライトが提唱している「ユニティ」手法を引き継いだ、潮満干浜・砂洲・森・街道・社寺・土豪・武家屋敷・店遊郭などの、湊沿岸江戸東京コモン空間の遺産を総合的に結びつけ、発展させる「スペースオロジー(空間学)」の方法が有効・理想である。

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